🎯 結論(先に要点)
行政書士の仕事は、行政書士法で①官公署に出す書類と、権利義務・事実証明に関する書類の作成(1条の3)②その提出の代理や契約書の代理作成(1条の4)③書類作成の相談と決められています。代表的な分野は許認可・外国人の在留手続・定款・相続(遺産分割協議書)・車庫証明・契約書など。一方、登記(司法書士)・税務(税理士)・労働社会保険の書類(社労士)・争いのある事件の代理(弁護士)は他の士業の独占業務で、行政書士にはできません。


この記事の監修:現役行政書士(2018年開業・社会保険労務士試験合格)
行政書士試験は2回目、社会保険労務士試験は3回目で、どちらもフォーサイトの通信講座で合格しました。開業後にいちばん多かった相談は、古物商許可の申請でした。
監修者の経歴と受験の実体験はフリーターから行政書士になるまでの実話に書いています。
この記事でわかること
- 行政書士法で決まっている3つの業務
- 分野別の仕事内容と、書類の提出先
- 行政書士にできないこと(他の士業との境界)
- 特定行政書士の仕事
- 開業・勤務の働き方と、運営者の実際の仕事
- 行政書士になるための試験と登録の費用
この記事は、行政書士法などの条文(e-Gov法令検索)と、行政書士試験研究センター・日本行政書士会連合会の公表情報をもとに書いています。
運営者は2018年に開業した行政書士です。
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行政書士の仕事は法律で3つに決まっている

| 業務 | 条文 | 中身 |
|---|---|---|
| 書類の作成 | 行政書士法1条の3 | 他人の依頼を受け報酬を得て、①官公署に提出する書類(電子データを含む)と、②権利義務または事実証明に関する書類(実地調査にもとづく図面を含む)を作る |
| 提出・代理 | 1条の4第1項1号・3号 | 作った書類を官公署に提出する手続の代理、許認可に関する聴聞・弁明などの手続の代理、契約書などを代理人として作成 |
| 不服申立ての代理 | 1条の4第1項2号・第2項 | 許認可に関する審査請求などの代理と書類作成。日行連の研修を修了した「特定行政書士」だけができる |
| 相談 | 1条の4第1項4号 | 行政書士が作れる書類の作成について相談に応じる |
「官公署に提出する書類」は、国や都道府県・市区町村、警察署、保健所などに出す書類です。
「権利義務に関する書類」は契約書や遺産分割協議書、「事実証明に関する書類」は議事録や各種の図面などです。
そして行政書士法19条は、行政書士でない人が報酬を得てこれらの書類作成を業として行うことを禁じています。
2026年1月施行の改正で、19条に「いかなる名目によるかを問わず」という文言が加わり、名目を変えて報酬を受け取る形も対象であることがはっきりしました。
改正の内容は行政書士法改正2026の解説にまとめています。
行政書士の仕事内容一覧(分野別)

扱える書類の種類はとても多く、実際には分野を絞って仕事をしている行政書士がほとんどです。
代表的な分野と手続は次のとおりです。
| 分野 | 主な手続・書類 | 提出先の例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 許認可 | 建設業許可、古物商許可、飲食店営業許可、風俗営業許可、産業廃棄物収集運搬業許可、宅建業免許 など | 都道府県、警察署経由で公安委員会、保健所 など | 許可の要件を満たしているかの確認から始まる |
| 外国人の手続 | 在留資格の認定・変更・更新、永住許可、帰化許可申請の書類作成 | 出入国在留管理局、法務局 | 入管への申請取次には別途、届出(申請取次行政書士)が必要 |
| 会社・法人 | 株式会社・合同会社の定款作成、一般社団法人・NPO法人の設立書類 | 公証役場(定款認証)、所轄庁 | 設立の登記は司法書士の業務 |
| 相続・遺言 | 遺産分割協議書、相続人を確かめるための戸籍の収集、遺言書の作成支援 | (当事者間の書類) | 相続人どうしの争いがある場合は弁護士。相続登記は司法書士、相続税は税理士 |
| 自動車 | 車庫証明、自動車の登録(名義変更など) | 警察署、運輸支局 | — |
| 契約書・内容証明など | 契約書、内容証明郵便、示談書、会社の議事録 | (当事者間の書類) | 争いのある事件の交渉・代理は弁護士 |
補助金の申請書類も、官公署に提出する書類にあたります。
一方で、同じ「会社をつくる」「相続の手続をする」でも、登記や税金の部分は別の士業の仕事になります。
依頼を受けたときは、他の士業と連携して手続全体を進めるのが一般的です。
仕事の流れの例:古物商許可(運営者がいちばん多く扱った手続)
| 段階 | 行政書士がすること | 公式の目安(愛知県の例) |
|---|---|---|
| ①相談 | 営業所の場所や、許可を受けられない事由(欠格事由)に当たらないかを確認 | — |
| ②書類の収集 | 住民票の写し、本籍地の市区町村が出す身分証明書、略歴書、誓約書などをそろえる | — |
| ③申請書の作成 | 許可申請書を作り、依頼者に内容を確認してもらう | — |
| ④申請 | 主たる営業所を管轄する警察署(生活安全課)に提出 | 手数料19,000円(不許可・取下げでも返却なし) |
| ⑤許可 | 書類の不備があれば補正に対応 | 申請から40日前後で、申請した警察署で許可証を交付 |
許認可の仕事は、どの手続でもおおむね「要件の確認→書類集め→作成→申請→補正への対応」という流れです。
依頼者が自分で役所に何度も通わずに済むように、手続全体を引き受けるのが行政書士の役割です。
行政書士にできないこと(他の士業との境界)

行政書士法1条の3第2項は、書類の作成であっても「他の法律において制限されているもの」は行えないと定めています。
主な境界は次の4つです。
| できないこと | 担当する士業 | 根拠となる条文 |
|---|---|---|
| 不動産・会社などの登記の申請 | 司法書士 | 司法書士法73条(非司法書士等の取締り) |
| 税務書類の作成・税務代理・税務相談 | 税理士 | 税理士法52条(税理士業務の制限) |
| 労働社会保険の申請書類の作成・提出代行、帳簿書類の作成 | 社会保険労務士 | 社会保険労務士法27条(業務の制限) |
| 争いのある事件の代理・交渉・和解(法律事件の法律事務) | 弁護士 | 弁護士法72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止) |
「行政書士と司法書士の違い」がよく聞かれますが、法律の上では登記を扱えるかどうかが大きな違いです。
資格としての比較は行政書士と司法書士の違い、社労士との比較は行政書士と社労士の違いで説明しています。
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特定行政書士の仕事
行政書士が作った許認可の申請が不許可になったとき、その処分に対する審査請求などの不服申立てを代理できるのが「特定行政書士」です。
日本行政書士会連合会が実施する研修を修了した行政書士だけが、この業務を行えます(行政書士法1条の4第2項)。
行政書士になってすぐに名乗れるものではなく、登録後に研修と考査を経て付与されます。
行政書士の働き方(開業・勤務)
行政書士として仕事をするには、行政書士会に入会して日本行政書士会連合会の名簿に登録する必要があります。
働き方は、自分で事務所を開く「開業」と、行政書士事務所や行政書士法人で働く形があります。
行政書士法1条の5は、行政書士が他の行政書士や行政書士法人の使用人として業務に従事できることを定めています。
| 働き方 | 内容 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 開業 | 自分の事務所で依頼を受ける。扱う分野と集客を自分で決める | 専門分野を決めて自分で依頼を集められる人 |
| 勤務(使用人) | 行政書士事務所・行政書士法人で働く | 実務を学んでから開業したい人 |
| 資格を会社で活かす | 登録はせず、会社の法務・総務などで知識を使う | 行政書士として仕事をしない人(名乗ることはできない) |
働き方の詳しい違いは行政書士の働き方、開業の進め方は行政書士の独立開業、年収の実態は行政書士の年収にまとめています。
運営者の実際の仕事(開業行政書士の例)
運営者は一度廃業を経験したあと、2018年に再び開業しました。
開業後にいちばん多かった相談は古物商許可の申請で、その後は帰化許可申請の書類作成が中心でした。
| 時刻 | やること |
|---|---|
| 9:00 | メールの確認と返信 |
| 9:30 | 依頼者との打ち合わせのため移動 |
| 11:00 | 喫茶店で依頼者と面談 |
| 12:00 | 昼食 |
| 13:00 | 役所で住民票などの書類を取得 |
| 14:00 | 事務所に戻って書類を作成 |
| 16:00 | メールの確認と返信 |
| 16:30 | ホームページの記事作成や広告などの集客 |
| 18:00 | 終了 |
行政書士は一日中書類を作っているイメージがありますが、実際は面談や役所への外出が多く、書類を作る時間は1日のうち1〜2時間ほどでした。
1件ごとの単発の依頼が多いので、新しい依頼を集める活動も毎日欠かせません。
もう一つ伝えたいのは、試験の知識は実務ではほとんど役に立たないということです(運営者の考えです)。
実務は、手続ごとの要件や窓口の運用を、開業してから一つずつ覚えていくことになります。
🎬 動画で見る:介護職のフリーターから行政書士で開業した話
最初の依頼、1年目に困ったこと、試験の知識は役に立つのかを、運営者の体験として話しています(再生すると音声が流れます)。
当サイト運営者のYouTubeチャンネル「シカクのミカタ」の動画です(説明欄の記事リンクには広告を含みます)。
行政書士になるには(試験と登録)
行政書士になるには、行政書士試験に合格するのが一般的な道です(行政書士法2条)。
弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格がある人や、公務員として行政事務を通算20年以上(高校卒業者などは17年以上)担当した人も、行政書士となる資格を持ちます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | なし(年齢・学歴・国籍を問わない) |
| 試験日 | 毎年11月の第2日曜日。令和8年度は2026年11月8日(日)13時〜16時 |
| 受験手数料 | 10,400円 |
| 合格率 | 令和7年度は14.54%(受験者50,163人・合格者7,292人) |
| 登録の費用 | 日本行政書士会連合会への登録手数料25,000円、登録免許税30,000円。このほか各都道府県の行政書士会の入会金・会費(会ごとに違う) |
試験は法令等(行政法・民法・憲法・商法・基礎法学)と基礎知識の計60問・300点で、180点以上などの条件を満たすと合格です。
科目と配点は行政書士試験の科目と配点一覧、合格後の手続は行政書士に合格した後の流れで詳しく説明しています。
運営者は市販のテキストで独学を始めて挫折し、通信講座(フォーサイト)の講義を受けて理解できるようになりました。
1回目は不合格で、2回目で合格しています。
独学と通信講座の違いは独学と通信講座の比較を参考にしてください。
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2027年合格目標で講座を選ぶときの、給付金・始める時期・合格特典の確かめ方を説明しています。
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行政書士の仕事内容のよくある質問
Q1. 行政書士の仕事内容を簡単に言うと?
官公署に提出する書類と、契約書などの権利義務・事実証明に関する書類を作り、その提出の代理や作成の相談に応じる仕事です(行政書士法1条の3・1条の4)。
Q2. 行政書士は何ができますか?
建設業許可や古物商許可などの許認可申請、在留資格や帰化の書類作成、会社の定款作成、遺産分割協議書や契約書の作成、車庫証明などです。
Q3. 行政書士にできないことは?
登記の申請(司法書士)、税務書類の作成や税務代理(税理士)、労働社会保険の書類の作成・提出代行(社会保険労務士)、争いのある事件の代理や交渉(弁護士)は、それぞれの士業の独占業務なのでできません。
Q4. 行政書士と司法書士の違いは?
法律の上での大きな違いは、登記を扱えるかどうかです。行政書士は官公署に出す書類などを作り、司法書士は登記や供託、裁判所に出す書類などを扱います。
Q5. 特定行政書士とは何ですか?
日本行政書士会連合会の研修を修了した行政書士で、許認可が不許可になったときの審査請求などの不服申立てを代理できます(行政書士法1条の4第2項)。
Q6. 行政書士として仕事をするには何が必要ですか?
行政書士試験に合格するなどして資格を得たうえで、行政書士会に入会し、日本行政書士会連合会の名簿に登録する必要があります。登録手数料25,000円・登録免許税30,000円のほか、入会金・会費がかかります。
📚 この記事の出典(2026年10月21日に確認)
- e-Gov法令検索「行政書士法」(1条〜1条の5・2条・19条)
- e-Gov法令検索「司法書士法」73条・「税理士法」52条・「社会保険労務士法」27条・「弁護士法」72条
- 行政書士試験研究センター「試験概要」・「令和7年度行政書士試験実施結果の概要」
- 日本行政書士会連合会
まとめ|行政書士の仕事は「書類で手続を前に進める」こと
- 業務は行政書士法で「書類の作成・提出の代理・相談」と決まっている
- 主な分野は許認可・外国人の手続・定款・相続・自動車・契約書など
- 登記・税務・労働社会保険の書類・争いのある事件の代理は他の士業の仕事
- 特定行政書士は許認可の不服申立ても代理できる
- 仕事をするには試験合格などに加えて登録が必要。登録手数料と登録免許税で55,000円+入会金・会費
行政書士の仕事は、許認可の手続を通じて事業や暮らしの「次の一歩」を支える仕事です。
興味が湧いたら、まずは試験の全体像を知るところから始めましょう。
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